縫い代
ぬいしろ / seam allowance
布を縫い合わせたり、布端を始末したりするために、出来上がり線の外側へ設ける部分のこと。 縫い代の幅は、作品や縫う場所によって異なります。型紙や作り方に書かれた指定を確認することが大切です。
縫い代とは?もう少し詳しく
縫い代とは、布を縫い合わせたり、 布端を折って始末したりするために必要な部分です。
型紙には、完成したときの形を示す「出来上がり線」があります。 その出来上がり線から、実際に布を切る「裁断線」までの部分が縫い代です。
たとえば、縫い代1cmで2枚の布を縫い合わせる場合は、 布端から1cm内側をミシンで縫います。
縫い代は完成すると表から見えにくくなりますが、 作品を正しい寸法に仕上げ、縫い目の強度を保ち、 布端のほつれを防ぐために欠かせない部分です。
図:出来上がり線から裁断線までの部分が縫い代です
縫い代・出来上がり線・裁断線の違い
型紙を見るときは、縫い代だけでなく、 出来上がり線と裁断線の違いも確認しておきましょう。
| 縫い代 | 出来上がり線から裁断線までの部分です。 布を縫い合わせる、端を始末する、裾を折り上げるために使います。 |
|---|---|
| 出来上がり線 | 完成したときの形を表す線です。 縫い合わせる部分では、基本的にこの線上をミシンで縫います。 |
| 裁断線 | 実際に布を切る位置です。 縫い代付きの型紙では、型紙の外周が裁断線になります。 |
| 布端 | 裁断したあとの布の端です。 縫うときは、布端から指定された距離を保ってミシンをかけます。 |
例:縫い代1cmで縫う場合
ミシンの針板にある1cmのガイドへ布端を合わせて縫うと、 指定された縫い代幅を保ちやすくなります。
縫い代の基本的な幅は何cm?
縫い代は、すべて同じ幅ではありません。 作品の種類、縫う場所、生地の厚み、布端の始末方法によって変わります。
| 縫う場所 | 縫い代幅の目安 | 使われ方 |
|---|---|---|
| 脇・肩・切り替え | 1〜1.5cm程度 | 身頃やパーツ同士を縫い合わせる部分でよく使われます。 |
| 衿ぐり・袖ぐり | 0.7〜1cm程度 | カーブを縫いやすくし、縫い代の厚みを抑えるため、やや狭くする場合があります。 |
| ファスナー部分 | 1.5〜2cm程度 | ファスナーを付ける作業や、位置の調整に必要な幅を取ります。 |
| 裾・袖口 | 2〜4cm程度 | 布端を折り上げて始末するため、縫い合わせ部分より広く取ることがあります。 |
| バッグ・小物 | 0.7〜1cm程度 | 直線縫いの作品では、1cmの縫い代がよく使われます。 |
これらの数値は、家庭洋裁でよく使われる一般的な目安です。 同じ脇線でも、型紙によって1cmの場合と1.5cmの場合があります。
縫い代は「いつでも1cm」と決めず、 使用する型紙や作り方に書かれた指定を優先してください。
縫い代はすべて1cmでよい?
家庭用の作り方では縫い代1cmがよく使われますが、 1つの作品の中でも場所によって幅が変わることがあります。
-
脇線は1cm、裾は3cm
脇は縫い合わせ、裾は折り上げるため、必要な幅が異なります。 -
衿ぐりは0.7cm、肩線は1cm
カーブ部分は、縫いやすさや厚みを考えて狭くする場合があります。 -
ファスナー部分だけ1.5cm
ファスナーを付けやすくするため、ほかの部分より広く取ることがあります。 -
補正用に広く取る
仮縫いやサイズ調整をする場合は、修正できるよう縫い代を広く残すことがあります。
裁断を始める前に、型紙全体の縫い代幅を確認しましょう。
脇、衿ぐり、袖口、裾、ファスナー部分などを順番に見て、 幅が変わる場所へ印を付けておくと、裁断や縫製の間違いを防げます。
縫う直前にも縫い代幅を確認すると、 「全部1cmで縫ってしまった」という失敗を減らせます。
「縫い代込み」と「縫い代なし」の違い
型紙には、あらかじめ縫い代が付いているものと、 自分で縫い代を追加するものがあります。
型紙の外周に縫い代が含まれています。外周に沿って布を裁断できます。
型紙には出来上がり線だけが描かれています。裁断前に縫い代を追加します。
型紙によっては、場所ごとに縫い代の有無や幅が異なる場合があります。
型紙本体ではなく、作り方や裁断図に縫い代幅が書かれている場合もあります。
型紙に縫い代を付ける方法
-
場所ごとの縫い代幅を確認する
脇、衿ぐり、袖口、裾など、どの部分に何cm付けるのかを確認します。 -
出来上がり線から外側へ測る
定規を使い、出来上がり線から外側へ指定された幅の印を付けます。 -
直線部分は平行に印を付ける
出来上がり線と裁断線が、同じ間隔になるように測ります。 -
カーブ部分は細かく印を付ける
印の間隔を狭くすると、元のカーブに沿ったなめらかな裁断線を描けます。 -
印同士をなめらかにつなぐ
直線定規やカーブルーラーを使い、裁断線を描きます。 -
合印を裁断線まで延長する
縫い代を付けたあとも位置が分かるように、合印の線を外側まで延長します。
裾や前端など、布を折り返す部分は、 単純に外側へ同じ幅を足すだけでは、折ったときに形が合わない場合があります。 型紙の指示や作り方を確認し、縫い代の角を整えましょう。
縫い代を正確に縫う方法
指定された縫い代幅で縫うことは、 作品を正しいサイズと形に仕上げるための基本です。
布端をミシンのガイド線へ合わせ、一定の距離を保ちながら縫います。
針先よりも、布端とガイド線の位置を確認すると幅が安定します。
慣れないうちはゆっくり縫い、布端がずれていないか確認します。
急に布の向きを変えず、少しずつ回しながら縫います。
布端を沿わせる目印ができるため、直線の縫い代幅を保ちやすくなります。
本番前にミシン目、糸調子、縫い代幅を確認すると安心です。
縫ったあとの縫い代はどうする?
縫い合わせたあとの縫い代は、 作品や縫う場所に合わせて割る、倒す、布端を始末するなどの処理をします。
| 縫い代を割る | 左右の縫い代を反対方向へ開き、アイロンで押さえます。 縫い目の厚みを分散しやすい方法です。 |
|---|---|
| 片側へ倒す | 2枚の縫い代を重ねたまま、指定された方向へ倒します。 ロックミシンで2枚一緒に始末した部分などで使われます。 |
| 布端を始末する | ロックミシンやジグザグミシンをかけ、 縫い代のほつれを防ぎます。 |
| 折り込む | 裾や袖口では、縫い代を内側へ折って布端を隠します。 一つ折りや三つ折りなどの方法があります。 |
| 細く切る | 表へ返す部分や厚みが出る部分では、 必要に応じて縫い代を切りそろえます。 |
ミシンで縫ったあとは、工程ごとにアイロンで縫い代を整えましょう。
縫い目の上から一度アイロンを当てて落ち着かせてから、 縫い代を割る、または指定された方向へ倒します。
アイロンを強く滑らせるのではなく、 生地に合った温度で上から押さえるようにかけると、 縫い目がゆがみにくくなります。
場所によって縫い代幅が変わる理由
縫い代幅は、縫いやすさだけでなく、 仕上がりの厚み、布端の始末、サイズ調整などを考えて決められます。
-
カーブをきれいに仕上げるため
衿ぐりや袖ぐりは、縫い代が広すぎると表へ返したときにつれやすくなります。 -
布端を折り上げるため
裾や袖口は、折り返す分を確保するため、広い縫い代が必要です。 -
ファスナーを付けるため
ファスナーの位置を整え、縫いやすくするために幅を取ります。 -
厚みを減らすため
角やカーブは、表へ返したときのごろつきを減らすため、縫い代を細くすることがあります。 -
サイズを調整するため
仮縫いや補正を前提とする服では、修正できるよう広く残すことがあります。
型紙で縫い代を確認するときのポイント
型紙を使う前に、 縫い代の有無と場所ごとの幅を確認しておくと、 裁断と縫製の失敗を防げます。
-
型紙の説明欄を読む
「縫い代込み」「縫い代なし」などの記載を確認します。 -
裁断図も確認する
型紙本体ではなく、裁断図に縫い代幅が書かれている場合があります。 -
場所ごとの数字を見る
脇、裾、袖口、ファスナー部分などで幅が変わっていないか確認します。 -
出来上がり線を見分ける
外周が裁断線なのか、出来上がり線なのかを確認します。 -
合印の位置を確認する
縫い代を追加した場合は、合印を裁断線まで延長します。
縫い代込みの型紙でも、実際に縫う幅の確認は必要です。
型紙の外周に沿って布を切ることはできますが、 どの部分を何cmで縫うのかは、作り方を見なければ分からない場合があります。
裁断前と縫製前の2回確認すると、 縫い代幅の見落としを減らせます。
縫い代で起こりやすい失敗
縫い代なしの型紙をそのまま裁断する
縫い代を付けずに切ると、 縫い合わせたあとに作品が予定より小さくなります。
対策:裁断前に、縫い代込みか縫い代なしかを確認します。
すべて同じ幅で縫う
裾やファスナー部分など、 幅が異なる場所まで1cmで縫ってしまうことがあります。
対策:縫う工程ごとに、指定された縫い代幅を確認します。
布端からの距離が一定にならない
縫い代幅が途中で変わると、 縫い目が曲がり、完成サイズや左右の形に影響します。
対策:針板のガイドやマグネット定規へ布端を合わせます。
カーブの縫い代が角ばる
縫い代を付けるときの印が少ないと、 元の型紙に沿ったなめらかなカーブになりません。
対策:カーブ部分は細かく印を付け、なめらかにつなぎます。
切り込みを深く入れすぎる
カーブや角を整えるときに、 ミシンで縫った糸まで切ってしまうことがあります。
対策:縫い目の手前で止め、少しずつ切ります。
布端の始末を忘れる
ほつれやすい生地をそのままにすると、 使用や洗濯によって縫い代がほどける場合があります。
対策:生地と作品に合った方法で、布端を始末します。
プロの現場ではこう考える
縫い代は、布を縫うために外側へ足すだけの部分ではありません。
縫い代幅は、縫製方法と仕上がりを考えて決められています。
生地の厚み、カーブの形、布端の始末方法、 アイロンのかけやすさ、サイズ調整の必要性などによって、 適切な幅は変わります。
縫い代は完成すると表からほとんど見えませんが、 幅がそろっているか、適切に始末されているか、 アイロンで整えられているかによって、作品の仕上がりは大きく変わります。
初心者のうちは、 指定された縫い代を正確に裁断し、 指定どおりの幅で縫うことを意識してみてください。
縫い代を自己判断で狭くすると、 布端がほつれて縫い目が外れやすくなる場合があります。 作り方に理由がない限り、指定された幅を変えないようにしましょう。
縫い代についてよくある質問
縫い代とはどの部分ですか?
出来上がり線から裁断線までの部分です。 布を縫い合わせたり、布端を折って始末したりするために使います。
縫い代はすべて1cmですか?
すべて1cmではありません。 脇、衿ぐり、裾、袖口、ファスナー部分など、場所によって幅が変わります。 型紙や作り方の指定を確認してください。
縫い代込みかどうかはどこを見れば分かりますか?
型紙の説明欄、作り方、裁断図などを確認します。 「縫い代込み」「縫い代付き」「別途縫い代を付ける」などの記載があります。
縫い代1cmはどこから測りますか?
裁断した布端から、ミシンで縫う位置までを測ります。 布端から1cm内側を縫うと、縫い代1cmになります。
縫い代なしの型紙はそのまま布を切れますか?
そのまま裁断することはできません。 出来上がり線の外側へ、指定された幅の縫い代を追加してから裁断します。
縫い代は完成後に切り落としてもよいですか?
すべて切り落としてはいけません。 角やカーブ、表へ返す部分では細く切ることがありますが、 必要な幅を残して処理します。
あわせて知りたい洋裁用語
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出来上がり線
作品が完成したときの形を表す線。縫い合わせる部分では、基本的にこの線上を縫います。 -
裁断線
実際に布を切る位置を示す線です。 -
合印(ノッチ)
縫い合わせるパーツ同士を、正しい位置で合わせるための目印です。 -
地の目
生地を作っている糸の方向。型紙を生地へ配置するときの基準になります。 -
ダーツ
布の一部を縫い込んで、身体の丸みに沿った立体的な形を作る技法です。 -
中表
2枚の布の表側同士が内側で向き合うように重ねることです。 -
裁ち目かがり
裁断した布端がほつれないように、ロックミシンやジグザグミシンなどで始末することです。
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