合印(ノッチ)
あいじるし / notch
縫い合わせるパーツ同士を、正しい位置で合わせるための目印。 型紙や布端に付けられ、縫いずれや左右の取り違えを防ぐために使われます。
合印(ノッチ)とは?
合印とは、2枚以上の布や型紙を縫い合わせるときに、 正しい位置を合わせるために付ける目印です。
型紙では、布端に小さな三角形、線、V字などで示されます。 布へ写すときは、縫い代の端へ小さな切り込みを入れたり、 チャコペンや糸印を使ったりします。
合印があることで、長い縫い合わせ線でも、 途中の位置を確認しながら正確に縫い合わせられます。
特に、袖山と袖ぐり、カーブした切り替え、 ギャザーやいせ込みが入る部分などでは、 布端だけを見て縫うと位置がずれやすいため、 合印が重要な役割を持ちます。
図:型紙にある合印を布へ写し、同じ印同士を合わせて縫う流れ
合印とノッチの違い
家庭ソーイングでは、合印とノッチをほぼ同じ意味で使うことがあります。 ただし、厳密には少し意味が異なります。
| 合印 | パーツ同士を正しい位置で合わせるための目印全般です。 切り込み、チャコ、糸印、型紙上の線や三角などを含みます。 |
|---|---|
| ノッチ | 合印を表す三角形や線、または布端へ入れる小さな切り込みを指します。 アパレルの現場や型紙では「ノッチ」と呼ばれることが多くあります。 |
| 印 | ダーツ先端、ポケット位置、ボタン位置なども含む、型紙から布へ写す目印全般です。 必ずしも布端にあるとは限りません。 |
この記事では、パーツを縫い合わせる位置を示す目印を「合印」、 布端へ付ける切り込みや型紙上の記号を「ノッチ」として説明します。
合印が必要な5つの理由
長い縫い合わせ線を区切り、途中の位置がずれるのを防ぎます。
形の似た袖や脇線などで、前側と後ろ側を区別できます。
袖山と袖ぐりなど、形の異なる曲線を正しい位置で合わせます。
ギャザー、いせ込み、タックなどを区間ごとに整えられます。
前中心、後ろ中心、肩の頂点などを正確に合わせられます。
ファスナーやスリットなど、縫い始め・縫い終わりの位置を示せます。
型紙にある合印の種類
1本の合印
小さな三角形や1本の線で表される合印です。 縫い合わせる相手側にも同じ印があり、 それぞれを合わせて縫います。
2本・3本の合印
2本または3本並んだ合印は、 形が似ているパーツや前後を区別するために使われます。
袖では、前側と後ろ側を見分けるために 1本と2本のノッチを使い分ける型紙があります。
中心を示す合印
衿ぐり、袖山、ヨーク、ウエストベルトなどでは、 前中心や後ろ中心、肩の頂点を示す合印があります。
左右対称のパーツでは、中心の合印を先に合わせることで、 両側の分量を均等に配分しやすくなります。
ギャザーやいせ込みの範囲を示す合印
「この合印から、この合印までギャザーを寄せる」というように、 加工する範囲を示すためにも使われます。
長い距離にギャザーを入れる場合は、 中心や4分の1位置にも合印を付けると、 分量を均一に配分しやすくなります。
ノッチの切り込みは何mm?
家庭ソーイングでは、布端から 2〜3mm程度の小さな切り込みを入れる方法が一般的です。
切り込みは、必ず縫い代の内側に収めます。 出来上がり線や本縫いの位置まで切り込んではいけません。
たとえば縫い代が1cmある場合、 2〜3mm程度の切り込みであれば、 通常は縫い目より外側に収まります。
ノッチは、見える程度の小さな切り込みで十分です。
深く切りすぎると、本縫いの位置まで裂けたり、 完成後に穴が開いたりする原因になります。
縫い代が狭い作品や、ほつれやすい生地では、 ハサミで切り込まず、チャコペンや糸印を使う方が安全です。
型紙に縫い代が含まれていない場合は、 先に縫い代を付けてから、対応する位置を縫い代部分へ写します。
合印を布へ付ける方法
| ハサミ | 布端へ2〜3mm程度の小さな切り込みを入れます。 印が消えにくく、裁断後も確認しやすい方法です。 |
|---|---|
| チャコペン | 縫い代部分へ短い線を付けます。 ほつれやすい生地や、切り込みを入れたくない場合に向いています。 |
| 糸印 | しつけ糸を使って印を付けます。 印が消えやすい生地や、表裏の両側から確認したい場合に使えます。 |
| 目打ち・印付け | ポケット位置やダーツ先端など、 布端ではない内側の印を写すときに使います。 生地を傷めない方法を選びます。 |
チャコペンは、生地との摩擦や作業中の湿気で薄くなる場合があります。 使用前にハギレで、色が消えるか、跡が残らないかを確認しましょう。
型紙から合印を正確に写す手順
-
型紙にある合印を確認する
三角、線、1本・2本のノッチ、中心印などを確認します。 裁断を始める前に、見落としがないか型紙全体を見ておきましょう。 -
型紙を生地へ固定する
地の目線を合わせ、文鎮やまち針で型紙を動かないように固定します。 -
パーツを裁断する
型紙の裁断線に沿って、生地を正確に裁断します。 -
合印の位置へ小さな印を付ける
ハサミで2〜3mm切り込むか、チャコペンで縫い代部分へ線を付けます。 -
重ねた生地の両方へ印を付ける
生地を2枚重ねて裁断した場合は、 上側と下側の両方に印が付いているか確認します。 -
型紙を外す前に再確認する
すべての合印、ダーツ、ポケット位置、前後の区別が写っているか確認してから型紙を外します。
縫うときは合印同士を先に合わせる
パーツ同士を縫い合わせるときは、 最初に両端だけを固定するのではなく、 中心や途中にある合印同士を先に合わせます。
両端、中心、途中の合印を合わせることで、 縫い合わせ線を複数の短い区間に分けられます。
各区間を少しずつ合わせれば、 一方の布だけが余ったり、 縫い終わりで長さが合わなくなったりする失敗を防げます。
カーブしたパーツは、布端ではなく合印を基準に合わせます。
袖山と袖ぐりのように形が異なるパーツは、 平らな状態で布端をすべて一致させることができません。
袖下、前後の合印、袖山の頂点を先に固定し、 その間を少しずつなじませて縫いましょう。
合印がよく使われる場所
-
袖山と袖ぐり
前袖・後ろ袖・肩の頂点を見分け、袖を正しい位置に付けます。 -
衿と衿ぐり
前中心、後ろ中心、肩線などを合わせ、衿の位置ずれを防ぎます。 -
ヨークと身頃
中心やギャザー範囲を合わせ、左右の分量を均一に配分します。 -
ウエストベルトとボトムス
前後中心、脇線、タックやダーツの位置を合わせます。 -
ポケット
ポケット口や袋布を、正しい位置で身頃へ縫い付けます。 -
ファスナー・スリット
あき止まりや縫い止まりの位置を正確に確認します。 -
バッグのマチ・カーブ
底中心や脇中心を合わせ、立体的なパーツのねじれを防ぎます。
合印のノッチと、カーブの切り込みは別のもの
洋裁では、どちらもハサミで布へ切り込みを入れるため、 初心者が混同しやすい作業です。
| 合印のノッチ | パーツ同士を正しい位置で合わせるための目印です。 主に裁断時に、布端へ小さく入れます。 |
|---|---|
| カーブの切り込み | 縫い代を表へ返したときに、カーブをなじませるための処理です。 縫い合わせたあと、縫い目の近くまで複数入れることがあります。 |
カーブの切り込みは縫い目の近くまで入れる場合がありますが、 合印としてのノッチは、出来上がり線まで届かない小さな印にします。
合印で起こりやすい失敗と対策
ノッチを深く切りすぎる
本縫いの位置まで切り込むと、 縫い合わせたあとに穴が開いたり、 縫い目から生地が裂けたりします。
対策:2〜3mm程度を目安にし、 必ず縫い代の内側に収めます。 縫い代が狭い場合はチャコや糸印を使います。
ほつれやすい生地へ切り込みを入れる
粗く織られた生地や、ほつれやすい生地では、 小さな切り込みから糸がほどけることがあります。
対策:ハサミを使わず、 消えるチャコペンや糸印で合印を付けます。
1本と2本のノッチを取り違える
前後が似ている袖や脇線では、 印を取り違えるとパーツがねじれたり、 袖の向きが不自然になったりします。
対策:型紙を外す前に、 前・後ろ・左右が分かるメモも一緒に付けておきます。
重ねて裁断した下側の布に印がない
上側だけにチャコを付けると、 下側のパーツに合印が残らないことがあります。
対策:生地の上下両方に印が付いているか、 型紙を外す前に確認します。
チャコの印が作業中に消える
生地同士の摩擦や、アイロン、時間の経過によって、 印が薄くなることがあります。
対策:消えやすい生地では小さな切り込みや糸印を使い、 裁断後に長時間放置せず縫製へ進みます。
布端だけを無理に合わせる
カーブ、ギャザー、いせ込みがある部分は、 2枚の布の形や長さが完全には同じではありません。
対策:両端と合印を先に合わせ、 合印で区切った区間ごとに分量をなじませます。
プロの現場ではこう扱う
合印は、型紙に付いている小さな記号ですが、 縫製の正確さと作業効率を大きく左右します。
長い距離やギャザー部分ほど、合印を細かく入れると均一に仕上がります。
両端だけを合わせてギャザーを寄せると、 一部分に分量が偏りやすくなります。
中心、4分の1、4分の3などにも合印を付け、 同じ区間同士を合わせながらギャザーを分散すると、 密度をそろえやすくなります。
袖山やカーブした切り替えでも、 合印で縫い合わせ線を区切ることで、 布を無理に伸ばさず正確に縫えるようになります。
型紙に合印が少ない場合でも、 ギャザーや長い縫い合わせ線では、 中心や等分位置へ補助的な合印を追加すると縫いやすくなります。
合印(ノッチ)についてよくある質問
合印とノッチは同じ意味ですか?
家庭ソーイングではほぼ同じ意味で使われます。 合印はパーツを合わせる目印全般、 ノッチは型紙上の記号や布端へ入れる小さな切り込みを指すことが多い言葉です。
ノッチは何mm切り込めばよいですか?
縫い代が1cm程度ある一般的な作品では、 2〜3mm程度の小さな切り込みが目安です。 出来上がり線まで届かない深さにします。
ノッチは三角形に切り取る必要がありますか?
必ずしも三角形に切り取る必要はありません。 家庭ソーイングでは、ハサミで小さな直線の切り込みを入れる方法が簡単です。
ほつれやすい生地にも切り込みを入れますか?
ほつれやすい生地では、切り込みから生地がほどける可能性があります。 チャコペンや糸印など、布を切らない方法が安心です。
袖の1本ノッチと2本ノッチは何を表しますか?
前袖と後ろ袖を区別するために使われることが多い記号です。 ただし型紙によって使い方が異なるため、使用する型紙の説明を優先してください。
合印を付け忘れた場合はどうすればよいですか?
型紙をもう一度布へ重ね、位置を確認して印を付け直します。 型紙がない場合は、縫い合わせる相手の中心や脇線から距離を測り、 左右差が出ないよう慎重に位置を確認します。
あわせて知りたい洋裁用語
-
ギャザー
合印で区間を分けることで、細かいヒダを均一に配分しやすくなります。 -
いせ込み
袖山と袖ぐりの合印を合わせ、余分な分量を区間ごとになじませる技法です。 -
ヨーク
身頃とヨークの中心やギャザー範囲を、合印で正確に合わせます。 -
地の目
型紙を生地へ配置する方向。合印を写す前に正しく合わせます。 -
縫い止まり
ファスナーやスリットなどで、縫製を止める位置を示す印です。 -
切り込み
カーブの縫い代を表へ返したとき、形をなじませるために入れる処理です。
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