洋裁用語辞典

バイアスとは?正バイアスの意味・方向と裁断方法を解説

バイアスとは

バイアス

ばいあす / bias

生地のたて地とよこ地に対して、斜めに通る方向のこと。 特に、生地の耳に対して45度になる方向を「正バイアス」と呼びます。

バイアスとは?もう少し詳しく

織物の生地は、たて糸とよこ糸を交差させて作られています。 たて糸が通る方向を「たて地」、よこ糸が通る方向を「よこ地」と呼び、 その2つに対して斜めになる方向がバイアスです。

洋裁で一般的にバイアスと呼ばれるのは、 生地の耳やたて地に対して45度になる正バイアスです。

バイアス方向は、たて地やよこ地に比べて伸びやすく、 カーブになじみやすい性質があります。 そのため、衿ぐりや袖ぐりの縁取り、パイピング、 曲線部分の始末などに使われます。

また、生地をバイアス方向に裁断すると、 布が体の形にやわらかく沿い、落ち感やドレープが生まれやすくなります。 スカートやワンピースなどを、しなやかなシルエットに仕上げたいときにも利用されます。

生地上のバイアス方向 生地の耳 生地の耳 たて地 よこ地 正バイアス 45° 耳に対して45度が正バイアス バイアス布の特徴 裁断直後は直線 少し伸ばす カーブになじむ 衿ぐり・袖ぐりなどの始末に便利 バイアス方向は伸びやすいため、扱うときは引っ張りすぎないようにします

図:生地の正バイアス方向と、バイアス布がカーブになじむイメージ

正バイアスと「斜め」の違い

生地のたて地やよこ地に対して斜めになっていれば、 広い意味ではバイアス方向と表現できます。

ただし、洋裁で「正バイアス」と呼ぶ場合は、 たて地とよこ地のちょうど中間にあたる45度の方向を指します。

45度から大きくずれると、バイアス特有の伸び方が弱くなったり、 テープの左右で伸び方に差が出たりします。 衿ぐりや袖ぐりへ使うバイアステープを自作するときは、 正バイアスに裁断することが基本です。

デザインや柄の見え方を優先し、45度以外の斜め方向で裁断する場合もあります。 ただし、正バイアスと同じ伸び方にはならないため、用途に合わせて使い分けます。

バイアス方向に裁断するメリット

伸びやすい

たて地やよこ地より伸びやすく、曲線や立体的な形になじみます。

カーブに沿いやすい

衿ぐりや袖ぐり、丸い布端を無理なく包みやすくなります。

落ち感が出やすい

生地が体に沿いやすく、やわらかなドレープを作れます。

動きに追従しやすい

織物でも適度な伸縮性が生まれ、体の動きになじみやすくなります。

縁取りに使いやすい

細長く裁断すると、布端を包むバイアステープとして使えます。

比較的ほつれにくい

たて・よこ裁ちより糸が連続して抜けにくい傾向がありますが、生地によってはほつれます。

バイアス方向は便利な一方で、伸びやすく形が変わりやすい方向でもあります。 裁断後の布を持ち上げたり、引っ張ったりしすぎないようにしましょう。

バイアスが使われる主な場面

  • 衿ぐり・袖ぐりの始末
    バイアス布で縫い代を包み、カーブした布端をすっきり仕上げます。
  • パイピング・縁取り
    バッグ、ポーチ、洋服の端を包み、補強やデザインのアクセントにします。
  • 見返しの代わり
    薄手のブラウスやワンピースを、見返しより軽く仕上げたい場合に使います。
  • バイアス裁ちのスカートやワンピース
    生地の落ち感を活かし、体に沿うやわらかなシルエットを作ります。
  • 柄を斜めに見せるデザイン
    チェックやストライプを斜めに配置し、切り替えやポケットのアクセントにします。
  • カーブした裾や特殊な形の布端
    直線裁ちのテープでは沿いにくい場所を、伸びを利用して包みます。

バイアスとバイアステープの違い

バイアス 生地のたて地とよこ地に対して斜めになる方向、またはその方向に裁断した布を指します。
正バイアス 生地のたて地や耳に対して、正確に45度になる方向です。 最も伸びやすく、カーブになじみやすい方向です。
バイアステープ バイアス方向に細長く裁断し、布端の始末や縁取りに使えるよう加工したテープです。
バイアス裁ち 身頃やスカートなどの型紙全体を、バイアス方向に合わせて裁断する方法です。

「バイアス」という言葉を、バイアステープの略として使うこともあります。 作り方の説明では、布の方向を指すのか、テープ状の布を指すのかを前後の工程から判断します。

正バイアスの見つけ方・裁断方法

  1. 生地の耳を確認する
    生地の両端にある、ほつれにくく処理された部分が耳です。 耳と平行な方向が、基本的なたて地になります。
  2. 耳に対して直角の線を確認する
    方眼定規を使い、たて地とよこ地が直角に交わる基準を作ります。
  3. 45度の線を引く
    方眼定規の45度線や、正方形の対角線を利用して、正バイアスの方向を出します。
  4. 必要な幅を平行に取る
    最初の45度線を基準に、3cmや4cmなど、作り方で指定された幅の平行線を引きます。
  5. 生地を動かさず裁断する
    バイアス方向は伸びやすいため、生地を引っ張らず、文鎮などで固定して裁断します。
  6. 裁断後は伸ばさず置いておく
    細長いバイアス布は持ち上げただけでも伸びることがあります。 使用するまで平らな場所へ置いておきます。
KOTOBUKIsewingの一言

正バイアスは、目測ではなく45度線のある方眼定規を使って裁断しましょう。

最初の1本がずれると、その線を基準に裁断したすべてのテープが 正バイアスからずれてしまいます。

裁断後のバイアス布は非常に伸びやすいため、 手で引っ張って長さをそろえたり、アイロンを滑らせたりしないことも大切です。

短いバイアス布を長くつなぐ方法

長い衿ぐりやバッグの周囲を包む場合は、 複数の短いバイアス布をつないで使います。

  1. 2本のバイアス布を中表に置く
    テープの端同士を直角に重ねます。 縫い代分が四方へ少しはみ出す位置に置きます。
  2. 重なった部分を斜めに縫う
    重なった正方形の対角線を縫います。 縫う前に、開いたときにテープが一直線になるか確認します。
  3. 余分な縫い代を切る
    縫い目から適切な縫い代を残し、角の余分な部分を切り落とします。
  4. 縫い代を割ってアイロンをかける
    つなぎ目の厚みが一か所に集中しないよう、縫い代を開いて整えます。

バイアス布をまっすぐ横につなぐと、縫い代の厚みが一列に重なります。 斜めにつなぐことで厚みが分散し、縁取りしたときの段差が目立ちにくくなります。

カーブへバイアス布を付けるコツ

直線状のバイアス布を、いきなり衿ぐりや袖ぐりへ縫い付けると、 テープが余ったり、身頃側が伸びたりすることがあります。

縫い付ける前に、アイロンを使ってバイアス布を 仕上がりに近いカーブへ軽く整えておくと、縫いやすくなります。

プロの現場ではこう扱う

バイアス布を引っ張って縫うのではなく、アイロンで先にカーブへなじませます。

バイアス布は伸びるため、強く引っ張れば一時的にはカーブへ沿います。 しかし、引っ張りすぎると完成後に衿ぐりがつれたり、 身頃へ細かいしわが出たりします。

アイロンを滑らせながら無理に伸ばすのではなく、 少しずつ形を変え、元の長さを大きく変えないように整えましょう。

身頃の中心、肩線、脇線などに合印を付け、 区間ごとにテープの長さを合わせると、余りや引きつれを防ぎやすくなります。

バイアス裁ちとは?

バイアス裁ちとは、バイアステープだけでなく、 スカートやワンピースなどの型紙全体を、 生地の正バイアス方向に合わせて裁断する方法です。

バイアス裁ちにすると、織物にも自然な伸縮性が生まれ、 生地が体のラインへやわらかく沿いやすくなります。

また、たて地裁ちよりも落ち感やドレープが出やすく、 動いたときに流れるようなシルエットになります。

一方で、裁断や縫製の途中で生地が伸びやすく、 裾の高さが変わったり、縫い合わせ部分が波打ったりしやすい方法です。

バイアス裁ちのスカートやワンピースは、縫い上げたあとに一定時間つるし、 生地の伸びを落ち着かせてから裾線を整えることがあります。

バイアスで起こりやすい失敗と対策

バイアス布が伸びて、必要な幅や長さが変わる

裁断後に持ち上げたり、強く引っ張ったり、 アイロンを滑らせたりすると形が変わります。

対策:文鎮で固定して裁断し、使用するまで平らに置きます。 アイロンは強く滑らせず、軽く押さえながら形を整えます。

正バイアスからずれて、カーブになじまない

目測で斜めに裁断すると、45度からずれることがあります。 ずれが大きいと、テープの伸びが足りません。

対策:45度線のある方眼定規を使い、 生地の耳を基準に正確な線を引きましょう。

衿ぐりや袖ぐりがつれる

バイアス布を引っ張りすぎて縫い付けると、 完成後に身頃が引かれてしわやつれが出ます。

対策:縫う前にアイロンでカーブへ整え、 合印ごとに区間を分けて長さを合わせます。

カーブの外側でバイアス布が余る

直線の状態のまま無理にカーブへ合わせると、 内側や外側に余分なしわが出ることがあります。

対策:アイロンであらかじめカーブを作り、 まち針を細かく打って少しずつ縫います。

つなぎ目だけ厚く、ごろつく

テープを直線につないだり、 つなぎ目と本体の縫い目が同じ位置に重なったりすると厚みが出ます。

対策:バイアス布は斜めにつなぎ、 縫い代を割ってアイロンをかけます。 つなぎ目を肩線や脇線から少しずらすと目立ちにくくなります。

バイアス裁ちの裾が部分的に下がる

バイアス方向は自重でも伸びやすいため、 裁断直後と完成後で裾の高さが変わることがあります。

対策:縫製後に服をつるして生地を落ち着かせ、 裾線を確認してから裾を仕上げます。

バイアス布を作る生地の選び方

薄手の綿 扱いやすく、折り目も付けやすいため、 初めてバイアステープを自作する方に向いています。
ローン・ブロード 衿ぐりや袖ぐりを薄く仕上げやすく、 ブラウスや子ども服に使いやすい生地です。
リネン ナチュラルな風合いになりますが、 生地によっては折り目が戻りやすいため、アイロンで丁寧に整えます。
厚地 折り重なると厚くなるため、 細いカーブや薄手の服の始末には向かないことがあります。
滑りやすい生地 落ち感は出ますが、裁断時にずれやすく伸びやすいため、 文鎮やロータリーカッターを使うと扱いやすくなります。

表地と同じ生地でバイアス布を作る方法のほか、 薄く仕上げるために別の薄手生地を使う方法もあります。 表から見える縁取りでは、配色や柄を変えてデザインのアクセントにできます。

バイアスについてよくある質問

正バイアスは何度ですか?

生地のたて地や耳に対して45度です。 たて地とよこ地のちょうど中間にあたり、 織物で最も伸びやすい方向です。

バイアスとバイアステープは同じですか?

完全に同じ意味ではありません。 バイアスは生地の斜め方向を指し、 バイアステープはバイアス方向に細長く裁断したテープです。

なぜバイアステープはカーブになじむのですか?

たて糸とよこ糸が斜めに動くことで伸縮性が生まれるためです。 直線裁ちの布よりも形を変えやすく、衿ぐりや袖ぐりへ沿わせやすくなります。

バイアス布はどのくらいの幅で裁断しますか?

一律の幅ではありません。 完成させたいテープ幅、縫い代、折り方によって変わります。 使用する型紙や作り方に指定がある場合は、その寸法を使いましょう。

バイアス布は引っ張りながら縫いますか?

基本的には、強く引っ張りながら縫いません。 縫う前にアイロンでカーブへなじませ、 合印ごとに長さを合わせて、自然な状態で縫います。

バイアス裁ちにすると生地は伸びますか?

織物でもバイアス方向には自然な伸縮性が生まれます。 その一方で形が変わりやすいため、裁断・縫製・裾仕上げでは伸ばさないよう注意が必要です。

あわせて知りたい洋裁用語

  • 地の目
    生地を構成する糸の方向。たて地、よこ地、バイアスの基準になります。
  • バイアステープ
    バイアス方向に細長く裁断し、布端の始末や縁取りに使うテープです。
  • 見返し
    衿ぐりや前端の裏側へ付け、布端と縫い代をきれいに始末するパーツです。
  • フレア
    裾に向かって広がるシルエット。バイアス方向が含まれる部分は伸びやすくなります。
  • パイピング
    布端や縫い目を細い布で包み、補強や装飾をする始末方法です。
  • ドレープ
    生地が自然に垂れ下がることで生まれる、やわらかなひだや流れです。

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