見返し
みかえし / facing
衿ぐりや前あきなど、服の端の裏側に縫い付ける布のこと。 縫い代や布の切り口を隠し、服の形を整えて、裏側まできれいに仕上げるためのパーツです。
見返しとは?もう少し詳しく
見返しは、ブラウスやジャケットの衿ぐり、前あき、袖口、 スカートやパンツのウエストなど、服の端の裏側に付ける布です。
表からはほとんど見えませんが、布端や縫い代を内側へ包み、 外から見える線をきれいに整える役割があります。 布が重なることで端の形が安定し、着脱や洗濯を繰り返しても 形が崩れにくくなる効果もあります。
見返しには、表地と同じ布を使うことが多く、 必要に応じて接着芯を貼って補強します。 薄手の服では別布を使ったり、見返しの代わりにバイアステープで始末したりする場合もあります。
図:衿ぐり・前端に付く見返しと、表地へ縫い付けて内側へ返した状態
見返しを付ける4つの役割
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布端と縫い代を隠す
衿ぐりや前端の切り口を内側へ包み、裏側まできれいに仕上げます。 -
服の端の形を整える
衿ぐり、Vネック、前あきなどの形を安定させ、輪郭をきれいに保ちます。 -
伸びや型崩れを防ぐ
接着芯を貼った見返しを重ねることで、伸びやすい布端を補強します。 -
表から見えたときも美しくする
前を開けたときや着脱時に内側が見えても、縫い代が直接見えません。
見返しが使われる主な場所
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衿ぐり
クルーネック、Vネック、キーネックなど、衿のない首まわりを始末します。 -
前あき・前端
ブラウス、シャツ、ジャケット、コートなどの前端を整えます。 -
袖ぐり・袖口
ノースリーブの袖ぐりや、広い袖口の内側を始末します。 -
スカート・パンツのウエスト
ウエストベルトを付けず、見返しですっきり仕上げる場合に使います。 -
裾・ポケット口
特殊な形の裾やポケット口を、形どおりきれいに仕上げるために使います。
見返し・裏地・バイアステープの違い
見返し、裏地、バイアステープは、どれも服の裏側や布端を整えるために使われますが、 覆う範囲と役割が異なります。
| 見返し | 衿ぐりや前端など、服の端の一部分だけを表地に近い形で覆います。 端の形を整え、補強する役割があります。 |
|---|---|
| 裏地 | 身頃や袖など、服の内側を広い範囲で覆います。 縫い代を隠すほか、滑りをよくして着脱しやすくする役割があります。 |
| バイアステープ | 細いテープ状の布で、衿ぐりや袖ぐりなどの布端を包みます。 見返しより薄く軽く仕上げたい場合に向いています。 |
見返しと裏地は一緒に使われることもあります。 ジャケットやコートでは、前端を見返しで整え、その内側へ裏地を縫い合わせる仕様が一般的です。
見返しに接着芯を貼る理由
衿ぐりや前あきは、着脱やボタンの開閉によって力がかかりやすく、 布の斜め方向が含まれる部分は伸びやすくなります。
見返しに接着芯を貼ると、布端が安定して縫いやすくなり、 衿ぐりや前端の形を保ちやすくなります。
ただし、厚すぎる接着芯を使うと、 見返しだけが固くなったり、表地に段差がひびいたりすることがあります。 表地の厚さや柔らかさに合った接着芯を選びましょう。
完成後に見返しだけが固くならないよう、表地より少し薄手の接着芯から試すと安心です。
本番の布へ貼る前に、必ずハギレで接着テストを行いましょう。 温度や圧力が合わないと、縮み、しわ、接着剤の表へのひびきが起こることがあります。
衿ぐり見返しの基本的な付け方
ここでは、ブラウスやワンピースの衿ぐり見返しを例に、 基本的な流れを紹介します。 実際の縫い代や縫う順番は、使用する型紙の指示を優先してください。
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見返しを裁断し、接着芯を貼る
型紙の地の目を正しく合わせて裁断します。 接着芯の指定がある場合は、見返しの裏側へ貼ります。 -
見返し同士を縫い合わせる
前見返しと後ろ見返しの肩線などを中表に合わせて縫い、 縫い代をアイロンで割ります。 -
見返しの外側の端を始末する
ロックミシンやジグザグミシン、折り込みなどで、 見返しの内側になる端を始末します。 -
身頃と見返しを中表に合わせて縫う
後ろ中心、肩線、前中心などの合印を正確に合わせ、 衿ぐりの出来上がり線を縫います。 -
縫い代を細く整え、カーブへ切り込みを入れる
縫い代を適切な幅に整えます。 内側へ曲がるカーブは、縫い目を切らないよう注意しながら切り込みを入れます。 Vネックや角は、先端近くまで慎重に切り込みます。 -
縫い代を見返し側へ倒し、アンダーステッチを入れる
表地を縫わないように開き、縫い代と見返しだけを一緒に押さえて、 縫い目の近くへステッチを入れます。 -
見返しを内側へ返してアイロンで整える
表側の縫い目が見えないよう、縫い合わせ線をほんの少し内側へ控えます。 アイロンで形を整え、肩線や縫い代へ手まつりなどで固定します。
「見返しを控える」とは?
見返しを控えるとは、表地と見返しの縫い合わせ線を、 完成した服の端からほんの少し内側へ移動させることです。
縫い目がちょうど端にあると、着用中に見返しや縫い糸が表から見えることがあります。 見返し側へ1〜2mmほど転がすようにアイロンをかけると、 表から縫い目が見えにくくなります。
控えすぎると表地の形が変わったり、見返し側に余分なしわが出たりします。 数値だけで判断せず、表から縫い目が見えない程度に少しずつ整えましょう。
見返しで起こりやすい失敗と直し方
衿ぐりの見返しが表に出てくる
アンダーステッチを入れていない、アイロンで控えられていない、 肩線などへ見返しを固定していないことが主な原因です。
対策:縫い代を見返し側へ倒してアンダーステッチを入れ、 縫い目を少し内側へ控えてアイロンをかけます。 最後に肩線の縫い代などへ手まつりで固定します。
前端見返しと表地の長さが合わず、裾がつれる
表地と見返しの合印がずれている、縫い代幅が途中で変わっている、 片方の布を引っ張りながら縫っていることなどが考えられます。
対策:前端の上下と途中の合印を合わせ、区間ごとに固定してから縫います。 裾の角を縫う前に、見返しと表地の裾線が無理なく合っているか確認しましょう。
衿ぐりが波打つ・引きつる
カーブの縫い代へ切り込みが足りない、 縫製中に布を伸ばした、接着芯が表地に対して固すぎるといった原因があります。
対策:縫い目を切らない範囲でカーブへ細かく切り込みを入れ、 縫い代の厚みを整えます。 アイロンは押しつぶさず、カーブに沿って少しずつ形を作ります。
見返しの端が浮く・内側で落ちてくる
見返しが細すぎる、固定する位置が少ない、 生地と接着芯の重さや固さが合っていないことがあります。
対策:肩線や脇線など、表から目立たない縫い代へ固定します。 必要に応じて落としミシンや手まつりを使い、着用時に動かないようにします。
Vネックや角がきれいに出ない
角の縫い代が残りすぎている、 Vの先端まで切り込みが届いていないことが主な原因です。
対策:縫い目を切らないように注意しながら、 Vの先端近くまで切り込みを入れます。 表へ返したあと、目打ちなどで内側から少しずつ形を整えます。
プロの現場ではこう扱う
見返しは完成するとほとんど見えない部分ですが、 衿ぐりや前端の仕上がりを左右する重要なパーツです。
見返しをきれいに納めるポイントは、縫い代の整理、アンダーステッチ、アイロンの3つです。
縫い終わったらすぐに裏へ返すのではなく、 縫い代を細く整え、カーブへ切り込みを入れ、 見返し側へアンダーステッチを入れてから返します。
最後は、表側の縫い目が見えないように 見返しをほんの少し内側へ控えながらアイロンをかけます。 このひと手間で、衿ぐり見返しが表に出にくくなります。
前端見返しは、両端だけを合わせて一気に縫わず、 合印ごとに区切って固定すると、 表地との長さのずれや裾のつれを防ぎやすくなります。
アイロンは、見返しを付け終わった最後だけに使うものではありません。 接着芯を貼る、縫い代を割る、縫い代を見返し側へ倒す、 表へ返して控えるという各工程で使うと、仕上がりが安定します。
見返しを使わない始末方法もある?
すべての服に見返しが必要なわけではありません。 生地の厚さ、服のデザイン、目指す仕上がりによっては、 別の始末方法を選ぶこともあります。
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バイアステープ始末
薄く軽く仕上げたいブラウスやノースリーブに向いています。 -
裏地で包む
ジャケットやワンピースなど、内側全体に裏地を付ける服で使われます。 -
三つ折り・折り返し
直線に近い端や、布端をそのまま折れる形で使われます。 -
リブや衿を付ける
Tシャツやニットなど、別パーツで衿ぐりを始末する方法です。
見返しについてよくある質問
見返しと裏地は同じものですか?
同じものではありません。見返しは衿ぐりや前端など服の端だけを部分的に覆い、 裏地は身頃や袖など内側の広い範囲を覆います。
見返しには必ず接着芯を貼りますか?
必ずではありません。服のデザインや生地によって変わります。 衿ぐりや前あきの形を安定させたい場合は、接着芯を貼ることが多くなります。
見返しが表に出るのはなぜですか?
アンダーステッチ不足、アイロンで控えられていない、 肩線などへ固定されていないことが主な原因です。 縫い代を見返し側へ倒し、内側へ落ち着かせましょう。
見返しの代わりにバイアステープを使えますか?
デザインによっては使えます。 バイアステープは薄く軽く仕上がりますが、 見返しの方が衿ぐりや前端の形をしっかり保ちやすいという違いがあります。
見返しの幅は何cmが正解ですか?
一律の正解はありません。 服の形、生地の厚さ、必要な補強、縫い代とのバランスによって決まります。 使用する型紙に見返しが含まれている場合は、その寸法を使いましょう。
あわせて知りたい洋裁用語
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接着芯
生地の裏側へ接着し、見返しや衿、カフスなどの形を安定させる芯地です。 -
縫い代
布を縫い合わせるために、出来上がり線の外側へ付ける余分な部分です。 -
バイアス
布の縦地と横地に対して斜めの方向。カーブになじみやすく、布端の始末に使われます。 -
合印
表地と見返しなど、パーツ同士を正しい位置で合わせるための目印です。 -
ヨーク
肩、胸、背中、ウエストまわりなどに入れる切り替えパーツです。 -
ダーツ
平面的な布を体の丸みに沿わせ、立体的な形にする技法です。
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